KYOKO's Diary in Hokkaido
剣淵で出会った皆様へ愛をこめて
(平成12年 3月)

当時、自分のHPを持つようになるとは思ってなかった私が、
福知山鉄道館ポッポランドの掲示板に連続して書いた旅日記です。
このようにまとめて保存してくださっていたのは、土井里香さんです。
ありがとう!


■剣淵


 今回の私の旅は、1月だったかな、地元の「両丹日日新聞」の記者さんが私に
くださった、北海道の「北都新聞」の記事がきっかけ。
 今年は、東京に「国立国際子ども図書館」が開館するため、子ども読書年なの
ですが、それを記念して、北海道の「けんぶち絵本の里を創ろう会」が主催し、
「絵本とまちづくり」をテーマに絵本サミットを開く。講師は、福音館書店相談
役・松居直先生。と、書いてあったのでした。
 北都新聞を見て、以前から行ってみたかった絵本の里・剣淵と、二年前、私た
ちのたっての願いを聞き、福知山でご講演くださった松居直先生が、合体してい
る(!)、この絵本サミットに、どうしても行きたくなってしまいました。
 末っ子(3才)を連れてなら行ってもいい、と主人に言ってもらったのに、
なんせ、いきあたりばったりな私。前日まで交通手段を決めかねていたところ、
かの藤尾先生が、「鉄道で行くなら切符とったげるで」と。私は、鉄道で行くこ
とに決めました。

3月9日(木):藤尾先生が持ってきてくださった切符と旅程表。

行き=3/10(金)
   福知山9:47ーー北近畿4号 指定席1-9Aーー11:25大阪12:00ーートワイライト
   エクスプレス 寝台9-3下ーー3/11(土)9:08札幌10:00ーースーパーホワイト
   アロー5号 指定席4-8Cーー11:20旭川12:24−−13:22剣淵

帰り=3/12(日)剣淵16:19−−16:28和寒17:01−−サロベツ 指定席2-3B−−
   19:05札幌21:56−−急行はまなす 寝台2-4下ーー3/13(月)5:18青森6:11−−
   白鳥 指定席3-1A−−18:38京都19:25−−たんば1号 指定席2-7A−−20:42福知山

   しめて63,780円でした。


■トワイライトエクスプレス


3月10日(金):正午、大阪発、「列車の感動とホテルの快適を乗せた豪華寝
台特急トワイライトエクスプレス」で札幌に向かいました。
 スイートルーム、ロイヤルルーム、B個室、Bコンパートがあり、私達親子は、
Bコンパート(1ブース定員4人)に乗りました。
 新津あたりまで私達だけだったので、この部屋のはしごと二段ベッドのおかげ
で、子どもは喜んで過ごしました。
 レストランカー・ダイナープレヤデスでの、フルコースディナー(¥12,000)、
日本海会席御膳(\6,000)は乗車前に予約が必要で、私達親子は、かわいく自室
でプレヤデス弁当(値段忘れた)を夕食に。でも、コーヒーはサロンカー・サロン
デュノールで、朝食は、レストランでいただき、とっても優雅な気分を味わえま
した。
 お天気がよくて、琵琶湖も立山、剣岳、北アルプスの山々も、富山湾も、暮れ
なずむ日本海も、ほんとにきれいに見えました。

 いいな、と思ったのは、車内放送で、通過中の観光名所について説明が流れる
こと。青函トンネルを通過する翌日午前3時ごろに開かれる、サロンカーでの詳
しい説明会も好評とか。私もそれを聞きたかったのですが、子どもがホームシッ
クで眠りが浅く、断念しました。
 もうひとつの、いいな、は、客室乗務員の女性が、トワイライトエクスプレス
のオリジナルグッズを売りにみえること。紺色の制服を着た客室乗務員さんが
ボードに載せて売りにみえる、トワイライトエクスプレスのオリジナルグッズに、
私達親子の目はピカピカ! いっぱいある中、悩みながら、結局、オリジナル腕
時計(\3,000:トワイライトの停車駅が書いてある)、トワイライトの模型(\800)、
ステッカー(\350 since1989と書いてあります)を買いました。大満足。その上、
塔文社刊「鉄道の旅」(路線図\720)も買ってしまった。他にも定期入やキーホル
ダー、タイピン、「新婚様にご好評 バスローブ \9,500」もありました。腕時計
は買ってすぐ着けて行動しました。帰ってからも愛用してます。

3月11日(土):目覚めると、朝ぼらけの内浦湾の美しさに目をみはりました。
原野は、もちろん、雪景色。9時8分、札幌着。大阪からの走行距離 1,495.8km、
21時間あまりの旅でした。


■札幌ー旭川ー剣淵


 札幌に着いたところで、なんと、松居直先生ご一行様(ご家族みんなでいらし
たみたい)に、ばったりお目にかかっちゃったのです。私がご挨拶すると、松居
先生、きつねにつままれたようなお顔をなさいました。うふっ。
 札幌から、福知山と北海道YMCAに電話を入れました。私の最初の就職先は
京都・三条柳馬場にある京都YMCAだったもので・・・。福知山の誰にかけた
かは秘密!? そうそう、実家の母に、富山あたりから電話したら、あいかわら
ず大胆な娘に驚いていました。インドからでないだけマシ、と。

 旭川までスーパーホワイトアローで行って、駅前をすこし歩いてみました。北
海道の空気って、持って帰りたいくらい、清らかなの・・・。剣淵までには、塩
狩峠を越えます。圧倒的な積雪で、さらに吹雪いて・・・。いまでも、列車を応
援したくなるような難所だと思いました。
 いよいよ、剣淵駅。地元の石原(いさ)駅のような小さな駅でした。


■絵本サミット


 3月11日は、レークサイド桜岡(ここに宿泊。温泉バッチリ)にて、絵本を
通じたまちづくりを進めているまち同士で、成果や課題を出し合うシンポジウム
が。
 パネリストは宮崎県木城町えほんの郷村長・黒木郁朝さん、富山県大島町絵本
館主任指導員・水上悦子さん、元「絵本の館」司書・角井摂さん、けんぶち絵本
の里を創ろう会会長・大澤秀麿さん。コメンテーターに、剣淵在住の童話作家・
加藤多一氏、作家の松居友さん(松居直先生の息子さん)、司会は、剣淵町教育
委員会(公民館係長)・早坂純夫さんでした。

 シンポジウムに続いて、児童文学者で福音館書店相談役の松居直先生が、「子
どもの読書と絵本」をテーマに特別講演。松居先生は福音館書店の月刊絵本「こ
どものとも」を創刊された名編集者で、『ももたろう』や『だいくとおにろく』
などを書かれた方。1997年に京都でお目にかかって以来、大好き!! な
お方なのです。今年5月5日に開館する、国立国際子ども図書館の設立を推進す
る全国連絡会事務局長でもいらっしゃる松居先生のおはなしを、絵本の里・剣淵
で聴けて最高でした。
 人間が生きるのに必要なものは、空気、水、そして言葉、といわれたのが印象
的でした。こどもを言葉で抱いて育てなさい、と。
 この日、聴衆は150人余りだったかしら。

 その後、交流会、夜なべの会、と、どこまでも参加した私(^^;
 東京からみえた方もあったけど、パネラーの黒木さんをのぞけば、私がいちばん
遠くから来てたみたいで・・・。夜なべの会の自己紹介で、名札には「福知山Y
MCAブッククラブ 堀 京子」と書きつつ、福知山鉄道館ポッポランドのPR
をした私って、いったい・・・?!

 ▼参考URL▲福知山鉄道館ポッポランド
        http://www6.ocn.ne.jp/~poppolnd


■絵本の館


3月12日(日):北海道・剣淵での絵本サミットの翌日は、レークサイド桜岡で、
朝湯につかり、しあわせ〜でした。お天気もよく、ホテル前で、息子は雪遊びに
夢中。

 午前10時半から会場を絵本の館に移し、絵本作家・松居スーザンさん(松居友
さんの奥様)、さわらびコーラスさん、そして会場のみんなによる、楽しい歌とピ
アノのコンサート「森でひろったうた」に参加。スーザンさん作曲の歌は初めて聴
くのに、なぜか懐かしい旋律で、スーザンさんのピアノ伴奏に合わせた合唱の不思
議に心地よかったこと。素敵なひとときでした。
 午後は、角井摂さんが講師になって親子制作教室「セーター人形をつくろう」が、
催されました。みんな手に手に可愛いセーター人形とニコニコお帰りに。

 さて、絵本の館にいる間中、息子を世話してくださったのが、けんぶち絵本の里
を創ろう会・事務局長の酒向康彦さん。息子は、どんな本でも喜んで何冊でも読ん
でくださる、このお兄さんをどんなに好きになったことでしょう。ほかにも、神保
さんとおっしゃったか、絵本の館では、みなさん優しくて、別世界のようだったん
です。そして私は帰り際、絵本の館の会員になり、着払いの宅急便で、絵本の館で
借りた絵本を送ってもらったのでーす。しあわせは、つづく・・・。


■けんぶち絵本の里を創ろう会


 北海道上川郡剣淵町の絵本の館は、昭和19年に建設された旧町役場庁舎を、ふ
るさと創成資金により改修し、平成3年に現在のように生まれ変わったのだそうで
す。この館内に、けんぶち絵本の里を創ろう会事務局があります。

 以下、同会発行の『普及部だより愛蔵版('91.6月〜'92.12月)』によれば、同
会は、絵本をきっかけに、剣淵町の豊かな未来を願う、町おこしのグループ。では、
なぜ、絵本なのか。そもそもの始まりは、絵本の素晴らしさについての講演を聴い
た町のあるお父さんが、「剣淵を救うのはこれだ!」と直感したという、実に運命
的な出来事だったそうです。
 この発想に共感した多くのお父さんたちが、「剣淵町の未来は、やがて町を支え
ていく子どもたちにどれだけ本当の豊かさを与えられるかで決まってくる。それが
町おこしの基本だ」そして豊かさというのは、「お金や豪華な建物や物があふれて
いることではなく、母なる大地があり、自然があり、文化があることだ」と、だん
だんと気づいてきた。そして剣淵町に足りないのは文化であり、子どもが一番身近
にできる文化が絵本であると知ったとき、「絵本」で町おこしをすることに、しっ
かりとした自信をもった、とあります。

 長い引用になりましたが、私が剣淵に行って、他と違うと感じたのは、何より、
このお父さんたち、男性の活躍だったのです。そして、月刊の『普及部だより』が、
「絵本の里」と「福祉」と「農業」はどうつながってるか、という問いに答えよう
と半年を費やしているように、「西原学園」、「剣淵・生命を育てる大地の会」と
の、自然で見事な連携。よき出会いが人生(町さえも)を変える見本のようなお話
も聞きました。
 「ヨーロッパにいるみたいだなぁ」「遠くが見える町だね。」・・・そんな一言
に目覚めて、レークサイド桜岡が建ったというのですから。絵本『だいくとおにろ
く』ばりですよね。

 ▼参考URL▲絵本の里剣淵町
http://www.town.kembuchi.hokkaido.jp/

■エピローグ


 いま、年度末のあわただしさの中で、剣淵へ行ってきたことが夢のようです。

 片道1600km余りを、28時間かけての鉄道の旅。子連れで。
 帰りの「白鳥」は、レポートしようにも、ほとんど寝てたので・・・(^^;
 ただ、青森での早朝の乗り換え時に、ドラエもんをペイントした列車が向かいの
ホームに止まっていて、おかげで、子どもが機嫌よく起きてくれたのが幸いでした。
この子は旅行後、「ほっかいどー」という言葉に敏感になり、テレビなどで聞くと、
自慢そうに「ぼく、いってきた」と言い、兄ちゃん二人を妬かせています。

 「白鳥」では寝ていたと書きましたが、さすがに藤尾先生にとっていただいた指
定席、ときどき起きると、車窓から眺める日本海の美しさにみとれました。行きの
トワイライトエクスプレスとはまた違って、お昼間の人々や駅や街の表情を楽しむ
ことができました。

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